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「住まいは文化」は、松下電工とKBS京都により制作したシリーズ企画です。大工や建具職人など、伝統的な建築技術を持った職人たちが高齢化するのにしたがい、失われていく住まいの知恵や文化・技術を、日本全国の伝統的な家屋を訪ねる中でまとめています。貴重な文化遺産として保存するシリーズ本来の意図はもちろん、「和」のインテリアが日本だけでなく、欧米などでも注目される中で、温故知新の参考例として、現代、未来の家づくりに活かせればと考えています。


一番街の通りから見た宮岡家の外観。まず目につく大きな「鬼板」は、高さ1m60cm、幅2mの大きさ。蔵壁はもともと「江戸黒」と呼ばれる黒塗りだったのが、年月を経て地色が見えている。


  埼玉県川越市は、江戸時代には「川越の宿」と呼ばれた交通の要所です。街道と新河岸川を利用した船運によって、江戸の北の要衝として栄えました。当時の目抜き通りである一番街には「蔵造り商家」と呼ばれる独特の町家が立ち並んでいました。現存する町家には200年を経た建物もあり、「小江戸」と呼ぶにふさわしい町並みが保存されています。宮岡家も川越市有形文化財に指定されています。


宮岡家は商家特有の「店蔵」、つまり店舗や居住空間すべてを土蔵の構造で造った建物です。外観でまず目につく重厚な屋根は、雨対策として勾配がかなり急になっています。(10分の6の屋根勾配)また、屋根の上部の箱棟と、巨大な鬼板(鬼瓦)が特有のシルエットを作り出しています。


防火対策としては、まず建物全体の土台を石組みにし、その上から漆喰を塗って建物や家財を火から守るようになっています。さらに、窓や戸口などの開口部は、観音開きの「戸前」に加えて、さらに「土戸」(つちど・土を塗り固めその外側に漆喰を塗った扉)で密閉度を高めていま す。火災が起こった場合には、扉を閉めた上、わずかな隙間をも塗り込めて、延焼を防ぐようになっています。


店蔵の内部は、店舗兼住宅です。重量のある屋根や壁面を支えるために、頑丈な梁や柱が随所に使われています。また、商人の住まいらしく、宴会や婚礼などの行事のために、襖を取り払って大広間になるようになっています。高い天井にはあかり取りのための窓がしつらえられていますが、この窓をすべて開けると、店舗から屋根裏まで箪笥などの大きな荷を上げ下げできる空間になります。
雨対策として急勾配になっている屋根と巨大な
鬼板。

防火のため、漆喰で塗られた「戸前」。

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欄間は通風と採光のため。奥の天井部分に見えるのが荷物の搬出入もできる天窓。
天井部分に見えるのが、あかり取り兼荷物の搬出入もできる天窓。
商家らしく収納部分が多い座敷。
      赤松の床柱、煤竹の落掛けなど、
茶人好みの粋なしつらいの床の間。

  宮岡家は、刃物を扱う店舗として現在も商いを続けています。1世紀を超えて実際に住み続け、商家として使い続けることができる住居は、家の構造、素材の丈夫さと共に、時代に合わせて多面的に利用できる知恵の賜物と言えるかも知れません。
 
   
座敷蔵の扉も、漆喰で塗った上に意匠をこらした木部で補強。
 


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