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こんな暮らしがしたい!

吹き抜けと大きな窓から入り込む採光で明るいLDKの中心には、力強い北山杉の大黒柱と梁が目をひきます。


きれいに区画された住宅地に建つS邸。土地探しから建築家と二人三脚で始まった家づくりは、自然な環境で家族の健康を守りたいという施主の思いから、可能な限り天然素材を使用しています。コストを抑えながらも、天然素材へのこだわりを追求した工夫が随所に見られる居住空間をご紹介します。




  千葉県柏市の住宅街に建つ一戸建住宅です。
いずれはマイホームを購入しようという思いのあった施主のSさんは、お子様の誕生をきっかけに、マイホームを持つなら一戸建てにしようと決断され、雑誌やインターネット、住宅メーカーのモデルハウス見学など、積極的に情報収集を始められました。
そんな時、「建築家と共に家を建てる」という選択肢があることを知り、Sさんはインターネットや電話帳などで調べた設計事務所にアポイントをとりました。数名の建築家と自身のつくりたい家について話をし、その中で出会った一人の建築家の住宅環境に対する考え方に心を動かされました。そこから土地探しをし、建築家との二人三脚の共同制作が始まりました。
外観
北と西側が道路に面した立地に建つため、窓を大きめにして採光を工夫。また、外壁は火山灰が原料のシラスという壁材を使い、職人さんの手塗りによるもので、塗りの質感も味わい深い。



  当初、Sさんは「高気密・高断熱」の家を希望していましたが、建築家と何度も話をしていくうちに、自然との共生の大切さを考えるようになり、「天然素材」を使用した家を建てたいと思うようになっていきました。その大きな理由に、家族の健康に対する配慮があります。
機能性の追及によって、年中一定の温度の室内で生活することが可能になった今、「それが健康的な生活と言えるのだろうか。子どもの成長にとってマイナスにならないだろうか」と考えるうちに、四季を体感し、それに順応できる体を作ることも大切だと、Sさんの天然素材への思いはより強いものになっていったのです。
「四季を体感できる家で、子供を育てたい。呼吸する家で家族が健康に暮らしたい」。そんなSさんのこだわりから、床材はすべて天然の檜を使用しています。スリッパは使用せずに、檜のサラッとした感触を素足で感じられるのが、くつろぎになっています。
“総檜”と聞くとコスト面が心配になりますが、節のあるものを使うことでコストダウンでき、逆に味わいのあるフローリングになっています。
北側にある玄関を入ると、檜の香りに包まれます。湿度がこもりがちな北側にもかかわらず、天然素材の檜のフローリングと壁材のシラスが吸湿。シューズクローゼットの上下に空間をとることで採光・通風の工夫もしています。



  床材同様、多くのスペースをとる壁材には、外壁・内壁ともに、シラスという火山灰の入った天然素材を使用しています。壁材が呼吸するため、夏の湿気も吸い取り、快適に暮らせます。よく見ると、部屋によって壁の塗り方に多少違いがあるのが、100%手作業をした証。部屋のイメージに合わせて職人さんに塗り方を変えてもらっています。
また、玄関と浴室の天然石スレート材は、水はけが良く、メンテナンスも簡単で、カビの発生を抑える床になっています。

 
 
外壁   内壁
シラスの壁は、呼吸をするので湿気のジメジメした感じがなく、心地よく過ごせる。湿気だけではなく気になる臭いも吸収するため、洗濯物を部屋干ししても臭わない。
浴室の床材は、水はけが良いだけではなく、足ざわりも良く入浴時の楽しみになっている。大きな窓の外にはバスコートもあり、親子で入浴できるくつろぎの空間になっている。



  「とにかく、広々としたスペースでくつろげる家にしたい」と考えるSさんのもう一つのこだわりがLDK。
目を離せない小さなお子様がいるため、レンジパネルの先をガラス張りにすることで、死角を無くしました。
奥様が調理をしている時でもLDK全体を見渡せる対面キッチンには、防犯パネルや電気のスイッチなども1カ所に集中させたこの家の司令塔とでもいう場所。家事をしながらも、お子様やご主人がどこにいるのか把握できるキッチンは、奥様の一番のお気に入りスペースです。
また、LDの吹き抜けにした天井や、全体の通気性を良くするために、なるべく壁の仕切りを作らないようにしたことで、家全体の気配を感じることもできます。
LDKすべてを見渡せるキッチンは奥様のお気に入りスペースです。



  S邸のLDKのほぼ中央にひときわ目を引き、貫禄のある丸太が一本あります。吹き抜けになった天井まで伸びている直径30cmの丸太は、建築家と施主のこだわりの大黒柱です。
京都の北山杉の中から探して取り寄せたこの丸太は、「Sさんをイメージしたもの」と建築家の近江さんは言います。家族を想い、一家を支える大黒柱がしっかりと家の中央にそびえ立っています。
LDKの中心にある北山杉の丸太は一家の大黒柱のご主人そのものです。



  開放感を追求するため、ドアはすべて引き戸を採用。LDKに繋がる和室(6畳)は、普段は閉めずに広々と使っています。また、引き戸を閉めると個室スペースになり、客間としても活用できます。
引き戸は開き戸に比べて場所を取らないメリットがあり、LDKだけではなく、トイレ、洗面所、子供部屋などにも採用されています。

 
普段は引き戸を開けてLDKと一体化している和室は6畳とは思えないほどの広さに。   引き戸を閉めるだけで独立した個室になり、客間としても使えます。



  何かと物が多くなってしまうキッチンをスッキリさせるために造られたのが、オリジナルの収納スペースです。建築家が自ら設計し、知り合いの家具工房に発注したため、低コストを実現しました。
設置スペースに全く無駄がない上、電子レンジや炊飯器を置くスペースまでしっかりと計算され尽くしていて、使い勝手が良くなっています。

 
建築家自らが設計することで使い勝手の良さと、インテリア性も実現したオリジナルのキッチン収納。   しまいたい場所にぴったり納まるのもオリジナルならではの収納。



  施主が天然素材の心地良さと共にこだわりを持っているのが、防犯対策です。職業柄、帰宅時間が不規則になることもあり、家族の安全のためにいろいろと工夫をされています。
まず、玄関のドアは、ダブルロックはもちろん、鍵穴付近をこじあけられないよう、厚さ1.0mmのステンレス板をはさみ込み、また表面には軽量で高剛性のアルミ樹脂積層板で仕上げたドアを特注して防犯対策をとっています。その他の場所にもセキュリティシステムを導入し、いざという時に備えています。

 
家族が安心して生活するために、防犯システムには気を遣っている。
軽量で高剛性のアルミ樹脂積層板ドア。



  スペースを広く活用したいと考えたSさんの強い要望で、居間の天井を高く(270cm)しました。
玄関、洗面所、トイレ、浴室などのすべてのパブリックスペースを通常の尺寸(91cm)よりも20〜30cm位幅を広めにとっています。なかでもSさんのこだわりは、“人がすれ違うことのできる階段”です。通常の住宅の約1.4倍はある125cm幅で、大人の男性が楽にすれ違うことも可能です。

 
 
パブリックスペースを広く取ったのが、くつろげる家をつくりたいという施主のこだわりです。トイレドアにも引き戸が採用され、より広く感じます。   大人が普通にすれ違うことが可能な階段の幅は、子供と手をつないで昇降することもできます。
 



  2階にある子供部屋は、日当たりの良い南向きのベランダと広めのロフト付きです。天井裏をつくらずに、梁を見せた空間に明るい日差しが差し込み、のびのびした開放的な子供部屋になっています。
空間を演出している梁が、将来には間仕切り用としても役立ってくれます。この梁を利用すれば、特に大掛かりなリフォームを行わなくても、そこに板で間仕切るだけで、2つの部屋に分けれます。入り口も廊下に面した壁に、引き戸があらかじめ2つ設けられているので、将来の個室対応に配慮しています。
どの部屋からも家の中の状態がわかるように、各部屋を必要以上に壁やドアで仕切らないことで、開放的な住空間をつくり、同じスペースでもより広さを感じるS邸は、家族の健康と安全を願い、自然の恩恵をたっぷりと取り入れた安らぎの家です。
現在は書斎スペースですが、子供部屋が必要になった時のリフォームを見越した設計になっています。


拡大図はこちら >>>



所 在 地 :千葉県柏市
設   計 :近江利雄設計工房
構造設計 :空間工房結
施   工 :秀建
構   造 :木造2階建+ロフト
敷地面積 :151.00u
建築面積 :72.34u
延床面積 :124.08u
竣   工 :2004年5月
工   期 :約180日


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