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こんな暮らしがしたい!

外観
地域に根ざしたデザインと、寒冷地ならではの機能性を持たせたリゾート住宅は、夢にまで見た帯広の自然に恵まれた居住環境を実現。


北海道・十勝平野のほぼ中央に位置する帯広市の郊外に建つH邸。以前の都市型マンション暮らしから、新築した一軒家は、ジャガイモやビートの広大な畑や松林に囲まれて、自然を満喫できる居住環境にあります。豊かな帯広の自然を謳歌したいというHさんの思いから誕生した開放感あふれるリゾート住宅をご紹介します。





  帯広市郊外、見渡す限りの畑や松林が続く平野の一軒家です。
施主のHさんは、仕事で東京、ロサンゼルス、札幌と移り住み、最後に行き着いた土地が帯広でした。ここに腰を落ち着けることにしたのは、雄大な自然に囲まれた帯広の街がとても気に入ったからです。田舎ならどこでも、という土地探しではなく、「帯広に住んで自然を謳歌したい」というこだわりから帯広限定の土地探しを始めました。
はじめ、Hさんは生活の便利さを考えて市の中心部を希望しました。いくつもの候補地を訪ね歩いてやっと決まりかけたころ、一緒に土地探しをしていた建築家は、「市街地では満足のいく家づくりはできないのではないか」と感じていました。そんな矢先に郊外の土地が売りに出て、建築家のすすめに、Hさんは郊外を選択しました。今、H邸が建つ土地です。もちろん、生活に便利というわけにはいきませんが、Hさんはとても満足しています。帯広の自然を思う存分に満喫できるロケーションだったからです。
リビングから見える庭は、真っ直ぐ空に向かって伸びる松の木の林に囲まれ、野生のリスが頻繁に遊びに訪れる。



  帯広で最初に住んだのは100uを超える4LDKのマンション。ご夫婦とお子さん2人の生活でしたが、お子さんの成長に伴い、「もっと広々としたところで子どもを育てたい」と考えるようになり、お子さんの小学校入学までには家を建てたいと、インターネットでの建築家探しを始めました。
その中で見つけた、札幌市にある住宅会社が手がけた住宅を一目で気に入ってしまったのです。それは、北海道産の木材を大切にし、建築素材を活かすことにこだわるコンセプトを持ち、しかも洗練されたデザイン性を持ち合わせた住宅でした。すぐに住宅会社を訪ね、そこで建築家を紹介されました。
打ち合わせの中で、奥様はロサンゼルスで暮らしていた頃に入手した1冊のインテリア雑誌を紹介しました。ガラス面を多く取り入れた、明るく開放的なアメリカンスタイルの家が載っている記事を見せ、「アメリカン住宅のような開放的な空間を」という家の夢を伝えたのです。
明るく開放的な空間を実現したリビング。吹き抜けとガラス張りをデザイン的にも支える窓枠は、北海道産の木材「タモ」を採用。



  雑誌に掲載されているものと似た家を建てるのは簡単です。しかし、家は居住する地域や気候などの環境に合った建て方が必要になります。特に北海道の中でも帯広は、寒暖の差が大きく、冬はマイナス30℃、夏は35℃に達することもある地域です。70℃近い寒暖の差に耐えなければいけません。デザイン性とともに断熱性能、耐久性などの性能も大切な要素になるのです。十勝平野の過酷な大自然は中途半端な家づくりを許してはくれません。
Hさんは、設計の依頼にあたって、あまり細かい部分等は注文せずに、「プロとしての提案をして欲しい」と建築家にぶつけました。建築家からのアドバイスは、「アメリカンスタイルではなく、帯広に根付くデザインや生活スタイルに合わせたデザイン性と機能性を重視した住宅」との答えが返ってきました。
数十回の打合せを重ね、Hさんの「のびのびと自然体で別荘のようにくつろげる暮らし」、奥様の「開放的な家」を実現しつつ、帯広の自然環境に耐えうる機能性とデザイン性を兼ね備えた住まいの設計が具体的に始まりました。Hさんと建築家の目指したH邸のコンセプトは、自然を常に五感で感じ、毎日が新しい気持ちにリフレッシュできるような別荘感覚のリゾート住宅です。
 



  奥様が一番気に入っている場所がキッチンです。
対面キッチンに立つと、家の中は、ダイニング、らせん階段、リビングからゲストルームの入り口、家の外の庭まで見渡すことができます。システムキッチンは、背の高い奥様(身長167cm)が使いやすい90cmの高さに造作されたものです。置き場で困るゴミ箱や、ちょっとしたものを置けるように、シンク下はあきスペースを取っています。椅子を持ってくれば、座ったままの姿勢で作業ができるようにもなっています。キッチンの後ろには、壁面いっぱいに広がる幅5m50cmの食器棚になっています。キッチンと同様に造作で、配膳スペースも兼ね、吊り戸棚の高さも計算された機能的な造りになっています。
造作のシステムキッチンと食器棚の素材はカエデを使用。カエデのやさしい色合いが、キッチンを明るく彩ります。
また、H邸が建つ前は、ここは地元でも美味しいと評判の手打ちの蕎麦屋さんが建っていました。地下から汲み上げたおいしい地下水が、今では、H邸の飲料水として使われ、食卓にも自然の恩恵が活かされています。
造作にすることで、デザイン性と機能性も兼ね備えたキッチンを実現。吊り戸棚の格子扉部分には、エアコンが収納されるなど、見せない収納の工夫も。



  玄関から一歩中に入ると、南に面したガラス張りのリビングが広がっています。その左に目を向けると、ダイニングと対面キッチンまでが一望できます。間仕切りのないオープンなスペースは、ご夫婦のイメージした開放的な住空間を実現しています。
その広い空間をさえぎらないようにしつつも、リビングとキッチンとの間でアクセントになっているのがらせん階段です。コンパクトさもあり、見せることを意識した階段です。
2階にある子供部屋と1階を結ぶ動線として、奥様の「子どもたちの姿がいつでも見られるように」という要望をかなえてもいます。お子さんがまだ小さいため、安全性を考えて、普段はネットの保護カバーをつけています。
吹き抜けのあるリビングから見えるキッチン。右側下にあるのは、薪を使う暖炉。暖炉前スペースは床暖房を採用したサンルームで、テラコッタ敷きの家族くつろぎの場に。



  1階で唯一、間仕切りのあるのが和室です。Hさんと奥様のご両親や、友人が泊りがけで遊びに来たときのゲストルームとして使われています。
正方形の琉球畳と広い間口の障子が落ち着きを感じさせる中、流線形の壁にある明かり取りの窓ガラスで、間接照明のようなおもしろい演出になっています。
照明は必要なときだけ部屋を明るく灯し、使わないときは、設備自体が目立たないように配慮されています。また、H邸では、和室以外で間接照明が多く使われています。それも同様に、日中の使わない間は、その存在を感じさせないというコンセプトからです。

 
木の質感と和の美しさを備えたゲストルーム(和室)。
 



  Hさんの一番のお気に入りがお風呂です。
バスタブは、一般的に住宅に使うものではなく、リゾートホテルなどで使うタイプのものを採用しています。Hさんの「日常の生活を忘れてリラックスできるような空間」というリクエストに答えたものです。
Hさんは設計に際して、「全体的に白っぽい色でまとめて欲しい」というリクエストを出しています。
これに対して、建築家はH邸のコンセプトである「自然を常に五感で感じ、毎日が新しい気持ちにリフレッシュできるような別荘感覚のリゾート住宅」を意識したデザインから、逆に、海を感じるようにガラスのタイルを壁面に採用することを提案。Hさんも清新な発想のデザインに魅せられ、このプランを採用することになりました。
壁面は単色ではなく、ガラスのタイルでいろいろな海の色を表現したデザインで、3方の壁面の片方をグリーンにし、もう片側を白、奥にブルーを入れた3色の壁面になっています。日中は窓から入り込む自然光が当たり、夜は照明の光が、ガラス特有の反射でいろいろな色に変わる面白さを引き出した演出に、Hさんも満足しています。

 
バス、洗面所の窓からも自然が見える設計に。日々の生活の場でありながら、自然の光景が別荘感覚のくつろぎとやすらぎをあたえる。
窓からの光景と光の反射で、いろいろな色に変化するガラスタイルが、よりくつろぎのリゾート生活に近づけてくれる。



  1階のオープンスタイルに対して、2階部分の居住空間は最小限の間仕切りで、主寝室や子供部屋などのプライベートを確保した工夫がされています。
らせん階段を上りきった周辺は、フリースペースとして活用されています。シャワールーム、トイレ、洗面所の水まわりを一箇所に機能的にレイアウトされています。どこに居ても、家全体のどこに家族がいるのかを感じることができるような空間性になっています。その、らせん階段を中心に、主寝室や子供部屋を配置。子供部屋は将来に向けて2つに部屋を分けることができるように窓や造り付けの収納がレイアウトされています。また、子供に人気のロフトもあり、空間をより有効に活用しています。

 
 
らせん階段を中心に、家族の気配を感じる空間に。   将来を見据えた子供部屋は、間仕切ると左右対照になるように設計されている。
 



  Hさんの書斎は2階の北西角のスペースにあります。
パソコンを使えるように造り付けの机と、書類をたくさん収納できるスペースが確保されています。この部屋の窓は、H邸のビューポイントのひとつ。家のまわりに広がるジャガイモ畑やビート畑が、遠く数キロ先まで見渡すことができ、この書斎からの眺めが帯広での暮らしを実感させてくれます。
また、この新居に引っ越してから、生活スタイルが一番変わったのがお子さんたち。特に上のお子さんは、それまでは、歩いてすぐの隣の家に遊びに行っていた環境から、ここでは、活発に自転車を乗り回し、数キロ離れた友達の家に遊びに行くようになっています。同世代だけではない、年上の友達も増え、日に日にたくましくなるお子さんたちの姿の思わぬ副産物に、Hさんも奥様も大喜びされています。
書斎からの眺めは、H邸自慢のビューポイントのひとつ。帯広の暮らしを実感させてくれる光景が広がる。



  寒冷地という土地柄、暖房設備が随所に採用されています。中でも、1階のオープンスペースを可能にしたのが、北海道で一般的に採用されているセントラルヒーティングです。温水を回して空気を滞留させて温める方式で、床暖房にも併用されている暖房法です。この全室暖房設備が、間仕切りのない広い部屋も暖かくしています。
また、自然との一体感を実現した開放感のあるガラスは、ペアガラスを採用。ガラス自体が2重になっていて、12mmのガラスとガラスの間にはアルゴンガスという熱伝導率の低いガスが入っているため、断熱効果が高くなっています。気になる結露は、外壁と断熱材の間に乾燥させるための通気層(18mm)を取ることで解消しています。
十勝平野のほぼ中心に位置する帯広市は、「リスに注意」という警戒標識が随所で見られ、野生動物がすぐ近くに生息するほどの自然に恵まれた土地柄です。そんな帯広の自然を十分に堪能できる暮らしにご家族はとても満足されています。家づくりはプランニングと同様に、「どんな場所(環境)に住むのか」ということも大切な要素であることをH邸が物語っています。

 
Hさんの「のびのびと自然体で別荘のようにくつろげる暮らし」、奥様の「開放的な家」を実現しつつ、帯広の自然環境に耐えうる機能性とデザイン性を兼ね備えた住まいを実現したH邸。帯広の地に根付いたたたずまいに。
冬場の快適さを決めるセントラルヒーティングの全室暖房を採用し、ペアガラスでしっかり断熱。窓枠に採用した北海道産のタモは、年数が経つほどに黄土色に変わる。床材には、部屋を明るく彩るカエデを採用。



所 在 地 :北海道帯広市
設   計 :アトリエアム(金田博道)
構造設計 :アトリエアム
施   工 :ハウジングオペレーション
構   造 :木造2階建+ロフト
敷地面積 :991.76u
建築面積 :164.73u
延床面積 :237.40u
竣   工 :2004年10月
工   期 :約150日
工 事 費 :約5,000万円
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