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こんな暮らしがしたい! 家族・友人が集うもてなしの家

外観
景観上の規制が厳しい状況の中、周囲に配慮し完成したW邸。

富士五湖の一つ、西湖に近い森の中に建つW邸は、東京都内で暮らす施主Wさんが故郷に建てたセカンドハウスです。気さくな人柄から、多くの友人知人を自宅へ招くことが日常になっているW家。すでに独立されたお子様たちの家族も頻繁に訪れるにぎやかな住まいです。家族、友人が集う「もてなしの家」をテーマに設計された中庭のあるコートハウスは、温かい心遣いを随所に活かしたハートウォームな空間が特徴です。
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 老朽化に伴い故郷に求めたセカンドハウス
施主のWさんの故郷、富士河口湖町は、富士山麓の観光地として知られています。W邸は富士山の眺めの素晴らしさや釣りやボート遊びなどが楽しめる西湖に近く、緑あふれる環境の中にあります。
かつてこの地は、台風の影響で多くの建物が流失しています。Wさんの生まれ育った家も被害に遭い、当時、災害復興策の一環で造成地に建てた住まいが老朽化したため建て替えたものです。
家族が集い、友人を招くリビングスペースは最高のビューポイント。近景の中庭と遠景の山の稜線が、訪れる人のもてなしの一つになっている。
多くの人が集えるスペース確保を要望
Wさんが40数年を過ごす東京都内の自宅は、鉄筋コンクリートの3階建て。1階にWさんご夫婦とお母様、2階に長男家族(夫婦+子ども2人)、3階に長女家族(夫婦+子ども2人)が住み、次男も近くに住む、とても仲のよいご家族です。
自宅が幹線道路に面し、無機質な四角い形状の鉄筋コンクリートの家だったことから、Wさんご夫婦が最初に望んだのが、ぬくもりを感じる木の家。さらに友人を招く機会も多いことから、「もてなしの家」をテーマに、「広いデッキ」、訪れた人が泊まれるように「4つの8畳間」を造って欲しいと建築家に要望しました。
施主の要望を取り入れ、西側(写真左側)に寝室として使われる4つの8畳間、中央にリビングにつながる広いデッキを実現している。
訪れる人を、新たな感動へと誘うコートハウス
周囲に森が広がっているとはいえ、近くに住宅もあることから、外の視線を気にしなくてすむコートハウスの住宅形式を採用しています。「コ」の字型に配置した建物に、中庭を造ることで、内と外が一体化した空間を実現しています。
中庭のデッキと一体に使えるリビングを建物の中央に配し、東の道路側にキッチン、家事室、倉庫を置くことで外の視線を断ち切っています。
森を縫ってW邸に着き門を入った途端、一転して現れる中庭の和風モダンの光景は、訪れる人に小さな驚きと感動を誘います。特に奥様はコートハウスが造る落ち着いた異空間の表情にとても満足されています。
※コートハウス……中庭を持つ住居のこと。
 リビングはデッキ部もあわせると36畳に
16畳はあるデッキは、リビング(開口部幅7m20cm)と連続し、そのままセカンドリビングとしての役割を果たしています。外壁に合わせた黒いデッキ上には、日除けを兼ねた真っ赤な野点傘を設置。空間に華やぎを持たせています。
リビングは、大人数に対応できるように3.8mもの長さのある座卓を採用。同時に腰も掛けられるように長さ3.5mのベンチを設えるなどの細かな配慮もしています。ここから座って眺める山の稜線も訪れる人の楽しみの一つになっています。
南に面したリビングの建具を開放することで、デッキと一体感のある空間が広がる。座卓にすることで、より多くの人数で食卓を囲むことができる。
門をくぐると足元には、美濃石が敷き詰められたアプローチ、船舶用照明を設えた大型のデッキ、野点傘が出迎えてくれる。
 天井部にもゆとりを感じる空間を実現
空間をより広くゆったり感じられるような工夫もしています。
天井は、天井板を張らずに小屋組の空間をそのまま活かし、間仕切り壁は梁の高さまで設け、梁から上は連続的な空間になるよう、より広がりを感じる設計にしています。
一方、寝室となる個室や浴室は、独立性を優先し、梁から屋根の部分までガラスをはめ込み、採光を確保しつつリビングの大空間とは隔てています。
キッチンは機能的な設えと使い勝手を重視
多くの友人が集うW家の課題の一つがキッチンでした。人が集まれば手作りの食事をもてなすのがW家流の楽しみにもなっています。
W家だけでも総勢12人。友人や知人の20〜30人が一度に集うとなれば、それなりの設えが求められます。
たくさんの料理を一度に作るため、キッチンスペースの広さは4〜5人が立てる10畳分の広さを確保しています。設備も大型シンクなどを採用。作業動線にも配慮して、L字型カウンターの内側に配膳台にもなるダイニングテーブルを設置。機能性と使い勝手のよさを重視しています。
キッチンは、料理教室が開かれたこともあるほどの広さと設備を揃えている。大理石の天板は、パンやケーキの生地を練るのにも大活躍している。
間仕切り壁を梁の高さまでにし、天井部の連続した空間から間接照明の光が漏れ、広がりが感じられる空間に。
自然対流で循環させる温熱環境で冬も快適に
西湖周辺は冬の寒さが厳しく、寒さ対策が十分でなかった以前の家は夏のみ利用していました。今回は外張り断熱の二重通気方式とし、寒さ対策を万全にしています。
建築家がこだわったのが、部屋や廊下、トイレ等との温度差をなくすことです。低コストの灯油を使った床下暖房機による全館暖房は、床暖房とは異なり、床下で暖めた空気が壁の中を通り、自然対流で家全体を包み込みます。床にある通気口からも暖かい空気が室内に取り込まれるようになっています。また、壁は調湿性の高いシラスの壁材を採用しています。
訪れた人が遠慮なく、より快適に過ごせる工夫も
浴室は、家族で一緒に入れるように3畳の広さを確保し、丸型のバスタブを採用しました。窓からは隣接する森林の自然の風景を楽しむことができます。また、脱衣所と洗面所を別々に取ることで、入浴中でも遠慮なく洗面所を使えるように配慮されています。
洗面ボールは、医療用の深さのある幅70cmの大型タイプを取り付けています。水はねなどによる汚れが気にならないように、実用面から選ばれたものです。ここにも訪れた人への心遣いが反映されています。
Wさんの故郷に建つ家は、親戚とのつきあいや、お墓参りなどの家族行事になくてはならない存在。恵まれた自然環境をはじめ、ゆとりある空間環境は、お孫さんたちのにぎやかな声に現れ、4世帯家族のコミュニケーションも育んでいます。
脱衣所床の穴は、床下からの暖かい空気を取り入れる通気口(写真左)。脱衣所と洗面所の上部外壁にはガラスを用い、自然光を取り込んでいる。
1階寝室は、琉球畳風に縁無しの畳を市松模様に敷き詰めたシンプルな和の空間。冬の寒さが厳しいため、床下から壁の中を暖かい空気が対流する全館暖房としている。

所 在 地

山梨県富士河口湖町

設   計

MY Architect office 渡辺恭祥

施   工

中澤組

構   造

木造2階建

敷地面積

596.60u

建築面積

135.80u

延床面積

181.34u

竣   工

2003年8月

工   期

約180日

工 事 費

約4,000万円

平面図
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