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西側外観 |
都心で利便性も抜群の東京都新宿区。幹線道路から一本中に入った、住宅街にI邸があります。隣り合う住宅街でありながら、高度斜線規制をクリアしながら、外部の視線を遮らず、明るさを均一に取り入れる工夫がされた快適な住まいです。積極的な地下空間の活用で、外部からの視線も気にならない、明るく開放的なリビングを実現しています。
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I邸はご夫婦と小さなお子様の3人暮らし。施主のIさんは、海外のアート系雑誌に関わる仕事柄、デザインにも詳しく、新築へのデザインイメージを持っていました。ご自身で模型を作成して写真を撮り、仕事を通じて知り合った建築家にその写真を見せてイメージを伝えました。
私道を中心に隣接しあう住宅街という立地から、日の当たらないスペースにはしたくない、道を通る人の視線を気にしたくないという思いがIさんにはありました。限られた敷地に人目を気にして塀を建て、隣家との距離が保てずに1階部分が日陰になってしまう住宅に疑問を感じていました。「明るいところで生活をするために、地下の利用も考えて欲しい」というIさんの要望をもとに、地下を積極的に活用した建築家によるスタディがスタートしました。 ■断面図
視線や光を遮断しない開放的なプラン。
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エントランス出入口の低い植栽越しに、1階部分が見え、対面の西側道路まで見ることのできるオープンなデザイン。
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敷地は南側(袋小路部分)と西側の2つの私道に接し、西を除く三方には隣家が接しています。外からの視線を気にするあまり、玄関や1階部分を塀などで囲うような閉鎖的なつくりが多い中で、I邸は2つの道路を巧みに利用。両方向から見えるように、外観のデザインを開放的にすることで街並みに連続した住まいを実現しています。
道路に接する南から西に細長く取ったエントランスは、外からの視線を遮らないようにガラスドアを採用。街並みに連続する空間となる1階部分には、ギャラリーを設けた開放的なスペースにしています。その結果、外へ中を見せることでセキュリティーの役割も同時に果たしています。 外部からの視線の高さから外れる地下には、リビングとダイニング、キッチン、2階に寝室や子ども部屋、バスルーム、洗面所などのプライベートスペースを配置しています。
地下にリビングとキッチン(右手奥)を配し、外部の視線が気にならない快適空間に。
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街並みにオープンなギャラリーから、エントランス方向(右手)を見る。植栽手前の空間がドライエリア、植栽の向こうが南側道路。
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プランしだいで暗くなりがちな地下を、二層分(地下と地上1階)の高い吹き抜け(4.75m)のあるリビングにすることで、明るく開放的な空間を実現しています。さらに東と西の2カ所に地面より2.5m掘り下げたドライエリアを設け、全面ガラス張りにすることで地上からの外光が差し込み、地下であることを忘れさせるほどの明るさを確保しています。
I邸はRC造(鉄筋コンクリート造)ですが、当初はコストを考慮して、2階部分を木造とすることにより建物の自重を軽くし、杭なしとすることを考えていました。設計途中段階の打ち合わせで、集中豪雨時の排水に万全を期すことから、基礎梁を利用したピットをつくることになりました。それにより、建物自重が重くなり地耐力が足りなくなるため、杭が必要ということから最終的にはすべてをRC造とすることになりました。 地下の利用は、2000年の建築基準法の改正により、一定の衛生面や防湿・防水措置がされていれば、居室として使うことも可能になり、容積率での優遇措置もあります。敷地の有効活用面からも注目を集めています。
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地下に降りる階段(1階部分)から見た西側。外の様子が見え、遮断するものがないことから明るい日が地下まで差し込む。
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地下の活用で伸びやかな内部空間を実現したI邸には、質感の異なる様々な素材の壁や床が採用されています。壁面が全部コンクリートの単調な打ち放しになるのは好ましくないというIさんの要望をもとに、素材を使い分けることで空間に変化を持たせています。
床では、キッチンとダイニングには明るい色のフローリング、パターの練習場にもなるリビングはモルタル、1階は差し込んだ日を反射させ、空間をより広く感じさせる白い塗床、2階部分は素足で歩いた時に気持ちのいい麻を採用。 階段吹き抜け部分の大壁は、外部で部分的に使われることの多い、コンクリート小叩き仕上げとしています。階段に接した地下から2階までの連続した小叩きの壁面は、座って地下から上を眺めたときの「なめるような感じが好き」というIさんのお気に入りの一つです。圧巻の小叩きには、階段を通して1階や2階から光が角度を変えて降り注ぎ、時々刻々とその表情を変え、空間を彩ります。
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I邸では、デザイン的にもすっきりさせるため、天井や壁面には照明器具は見あたりません。造作棚の中などに隠して設置し、コンセントも必要に応じた場所の床に埋め込むタイプを採用。照明は、天井、床、そして壁面を照らすことにより、“明るさ感”を確保する設計となっています。
随所に設けられているライティングダクトには、好みに合わせてスポットライトを取り付けられるようになっており、必要照度を得ることが可能です。小叩き仕上げの大壁面から反射する明るさをはじめ、吹き抜け部分や、視線の抜ける部分からも光がリビングまで届き十分な明るさを実現しています。 光の明るさも調光機能コントローラーで雰囲気に合わせた明るさで演出できるようになっています。特にエントランスの足元部分には、人が近づくとセンサーが反応し、徐々に明るくなるようにコントロールした連続調光のあかりで、訪れる人を迎え入れます。一方、明るく照らすことで、防犯機能としての役割も果たしています。
壁面や床、天井を照らすなど反射を利用した“明るさ感”で明るく彩られた空間に。随所に設けられたライティングダクトにはオプションでスポットライトも取り付け可能。
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人感センサー付きで、多段階に明るくなる照明で人を招き入れるエントランス。 |
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地下にすることで明るく広い空間を確保した一方で、RC打放しになることから、早期の決定を求められたのが、地下躯体に関わる部分です。I邸では、リビングにホームシアター機能もあり、設計当初から、Iさん、建築家、インストーラーとの打合せが綿密に行われてきました。
仕上げのないRC打放しでは、コンクリート打設前に建物全体のすべての配線計画が決定しなければいけません。I邸では、リビングにあるターンテーブル付きの造作家具の中心に配管スペースを取り、その中に配線を集中させています。スピーカーなどの配線も、配管を構造体に埋設したり、将来のために空の配管を多めに取るなどの配慮もしています。 I邸の工事期間は1年以上を超えました。Iさんの実現したいイメージを建築家が具現化するために、Iさんも含めた工事現場での念入りな打ち合わせが何度も繰り返されたからです。まさに、Iさんと建築家の二人三脚で誕生した住まいです。 |
外部からの視線の気にならない地下に、明るく快適な空間を実現したI邸。
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