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こんな暮らしがしたい! 都心への利便性の高い地で四季折々の自然を愉しむ“森の家” 長野県・軽井沢の家

南側外観
冬場の凍結と積雪を考え、地面から浮かせたつくりに。地下部分はボイラー室も兼ねている。

避暑地として知られ、人気の高い長野県・軽井沢。浅間山の南東斜面に広がる標高900〜1000mの森の中にT邸があります。家族の一員でもある愛犬との暮らしを求めて建てた住まいは、さわやかな緑の風が通り過ぎるTさん一家の素敵な“王国”。自然と一体化したスタイリッシュな住まいをご紹介します。
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愛犬との生活を存分に楽しむ 住まいづくりがスタート

T邸は、浅間山の溶岩石を積み上げた石垣が連なる、古くからの別荘地・旧軽井沢地区にあります。東京の都心にも生活と仕事の拠点を持つ施主のTさんと奥様、愛犬のゴールデンリトリバー2匹の“4人家族”が暮らす住まいです。
Tさんは、愛犬がいることから長年断念してきたご夫婦揃っての旅行を、「住まいを移動することで、愛犬とも一緒に旅行ができる」と住まいづくりへと発想を転換。新しい住まいづくりをスタートさせました。
軽井沢に決めたのは、山の散策が好きな奥様が以前から気に入っていたことや、自然に囲まれた中で愛犬とともに伸び伸び暮らしたいとの思いからでした。また、東京都心から新幹線で1時間という交通の便の良さも大きな魅力でした。
設計に当たってTさんが出した要望は、「愛犬との生活を楽しみたい」、友人が多いことから「最大10人くらいが寝泊りできるスペースを取って欲しい」。奥様からは、「生活導線を考えた使いやすさを」という、リゾートの快適さ、愛犬との生活を優先したものでした。

南側外観はシンプルな山小屋のよう。広い庭は、ドッグランのように犬が走り回れる。

 “新・軽井沢スタイル”に挑んだ モダンな佇まいの外観

T邸は、浅間山山麓とは言え、起伏のある山のイメージとはほど遠く、緑の木々に囲まれる平坦な広い敷地です。
木造平屋の建物は、道路に接する南側からは山小屋のようなシンプルな表情を見せます。
反対の北側は、手前から奥に向かって湾曲してせり上がる片屋根が印象的です。
Tさんが美術関係の仕事に携わることから、ギャラリーの雰囲気でフォルムの美しさを出したという建築家のプランに、Tさんご夫婦は、とても満足されています。

軽井沢になじむように手描きのようなカーブのモダンな屋根を見せる北側。手前の石畳は、バーベキュー用スペース。

 森の中の風の通過点のようなLDK 四季を通じて快適空間を実現

T邸は、厳冬期の凍結を考慮して、地盤から直接立ち上げた高床状のスラブ(コンクリート床)の上に建てられています。広いスラブ上にあるガラス張りの玄関を入ると、南側から北側に続くLDKが広がります。
建物の南面と北面が全面ガラス張りのため、光が差し込み、開口部を開け放つと風が通り抜けます。家の中に居ながら、まるで森の中に居るような錯覚に陥りそうな爽快さです。
LDKの壁には湿度をコントロールしやすい漆喰塗り、床には暖かみのある大理石ジェットバーナー仕上げを採用。ざらざらした床の表面が犬の歩行のしやすさと床暖房の蓄熱性を高めています。南面と北面が全面ガラス張りの広い開口にもかかわらず、床暖房で冬場も快適な温熱環境を保っています。

南側から北側まで続くLDK。奥に見えるのが北側敷地。

スラブ中央に玄関。このスペースは、朝食を楽しむ場にもなっている。

湾曲させた集成材の美しい梁が 空間に変化を与え、活力の源に

木の持つぬくもりを大切にしたT邸では屋根梁を見せるつくりで、特殊加工された集成材が天井を彩ります。60mm×300mmの断面を持つ屋根梁が連なる空間は、木の持つやわらかさと、曲率で変化をつけた天井高になっています。
広さに恵まれた敷地では、逆に「広さを感じにくい」という建築家が出した答えが天井高で感じる広さや空間です。天井高は梁下で南側の4590mmから北側の2620mmまで徐々に変わり、立つ場所によって変化のある空間を実現しています。
Tさんのお気に入りの場所は、LDKの南端に敷地に向かってソファが置かれたコーナー。そこから見上げるダイナミックな天井から内と外のパノラマが広がる開放的な空間です。視線の先には、手を加えずに自然の形状を残した敷地が広がり、行ったり来たりするリスや鳥のさえずりが聴こえ、自然を目の当たりにできる快適さは、仕事への活力を高める豊かな空間になっています。

型枠で集成材の1本1本に異なる曲率をつけ、緩やかなカーブのある天井高で広さ感覚を見せた空間が広がる。

季節を肌で感じられる 露天風呂のようなバスルーム

LDKを中心に西側に家族用の個室とトイレ、洗面室、東側にバスルーム、トイレ、洗面室とゲストルームを配置。玄関横にはスキー板なども置ける大型の収納スペースを取っています。
北面に位置するバスルームも開口部のガラスが大きく開き、半露天風呂のように使えます。正面には大きなモミジの木が、この地の主のように居座り、秋には紅葉、春には緑の葉の色を楽しめ、バスタブに浸かりながら眺められます。
当初は広い敷地に遊歩道を造る計画もありましたが、庭師さんのすすめもあり、自然の形状を残した庭になっています。都会では触れる機会の少ない季節の移ろいを味わえる暮らしを愛犬とともに楽しまれています。
バスルームに接した洗面室横には、犬用の足洗い場も設けています。外を走り回った後、そのままバスルームに入ることができ、足を洗ってきれいにしてからLDKへという犬用の導線も確保しています。

手前の洗面台と奥のバスルームの間は犬用の足洗い場スペース。外で走り回った犬は、北側に面したバスルームから直接入れるつくりになっている。仕切りを透明ガラスにすることで、より開放的な空間に。

寒冷地ゆえの難しさを“格子”でクリアし、 野生動物対策や防犯機能も配慮

都会生活のような近隣からの視線を気にする必要がないことから、開放的な南側と北側の全面ガラス張りを採用したT邸。ところが、自然に恵まれた環境では、寒冷対策をはじめ、野生動物対策や人気の少ない別荘地という点から、防犯面もおろそかにはできません。
モダンなデザインを活かしつつ、雪の降る気候から欠かせない軒や、何が起こるか予測しにくい寒冷地から、建具・サッシュなどはメンテナンスのしやすい既製品を要望したTさん。建物のプロポーションを崩さずに、軽井沢の気候の難しい点をクリアするために考えられたのが、南側と北側のガラスの外に取り付けられた木製の縦格子の折戸です。
日中は、折戸を開け放ち、夜間や不在時には折戸を閉めることで、防犯性も高まります。また、時にはガラスを破って住宅内に進入してくる野生のサルやイノシシからも住まいを守ります。木製の縦格子の折戸は、デザイン的にも住まいを惹き立て、防犯上からは住まいと家族を安全に守る欠かせない存在となっています。

木製の縦格子でガードされた南側外観。格子以外にも防犯面は何重にも対策が取られている。

■建築概要

所 在 地

長野県軽井沢町

設   計

三浦慎(三浦慎建築設計室)

構造設計

多田修二構造設計事務所

施   工

西武建設、竹花組

構   造

木造地上1階

敷地面積

2040.66m²

建築面積

173.19m²

延床面積

173.19m²

竣   工

2005年8月

工   期

約210日

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