一覧へ
住まいづくりの疑問を解消


2003年度税制改正が行われ、「相続税」と「贈与税」を一本化した「相続時清算課税制度」が創設されました。2003.4号で解説いただきました公認会計士・税理士の岡庭先生に具体的に見えてきた「新税制」について再びお話を伺ってきました。
バックナンバー(2003.4号)と合わせて、ご覧ください。


Q1:
550万円の住宅取得資金の贈与は、13年・14年の2年間も有りましたが、昨年までの2年間に住宅取得資金の贈与を受けていた人は、今回の相続時精算課税制度の3500万円までの非課税制度は活用できますか?
A1:
1. 活用できます。
平成13年〜14年の間に550万円の住宅取得資金の贈与を祖父母又は父母から受けた人でも、平成15年1月1日〜平成17年12月31日の間、相続時精算課税制度の住宅取得資金3500万円の非課税制度の適用を受けることが経過措置として可能となりました。
2. 平成13年、14年に5分5乗方式(550万円)の住宅資金贈与を祖父母又は父母から受けていた場合でも、15年1月1日以降、相続時精算課税制度の2500万円の非課税贈与を父母から受けられます。
3. 平成13年〜14年の間に、5分5乗方式(550万円まで非課税贈与)で、父母または祖父母から贈与を受けた場合、平成15年1月1日〜平成17年12月31日の間、同じ5分5乗方式で550万円の住宅取得資金の贈与をうけることは出来ません。
550万円の住宅取得資金の非課税措置は、今回の相続時精算課税制度の導入にあたっても継続されています(平成17年12月31日まで)が、同じ制度を2度活用することは出来ません。
 


Q2:
5分5乗方式(550万円の贈与)と相続時精算課税制度(2500万円又は3500万円)とは、どのような区別で考えればいいのか?
A2:
5分5乗方式と相続時精算課税制度とは、全く別な制度です。
1. 5分5乗方式(550万円の贈与)は、平成13年1月1日から施行されている住宅取得資金の為の贈与で、550万円までは非課税となっており、1500万円までは軽減措置が施されています。
5分5乗方式の基本的な考え方は、贈与税の基礎控除額(年間110万円)を、住宅取得目的の場合、5年分(550万円)を先に贈与しても非課税にします、という制度です。
その為、5年経過後でないと、基礎控除の110万円の贈与が認められていません。


<5分5乗方式による贈与をうけた場合の適用後の税額と、通常の贈与を行った場合の
 税額の比較表>


贈与の金額
特例適用後の税額
(15年度の新税率)
通常の税額
(15年度の新税率)
550万円
0万円
67万円
700万円
15万円
112万円
1000万円
45万円
231万円
1500万円
95万円
470万円
2000万円
227万円
720万円

2. 5分5乗方式(550万円の贈与)は、祖父母または父母からの贈与が認められています。(相続時精算課税制度は、父母からしか出来ません)贈与者が違えば、それぞれから受けることが可能です。
ただし、贈与者の別を問わず1回限りの贈与しか認められません。
(住宅取得を目的とした贈与ですので、1回しか認められません。)
3. 相続時精算課税制度を受けるには、従前の制度(基礎控除110万円の贈与もしくは住宅取得資金の為の5分5乗方式=550万円贈与)との選択をすることになります。
選択後は、毎年の確定申告(2月16日〜3月15日)にて、相続時精算課税制度により、贈与を受けたことを申告することになります。
 


Q3:
今年、祖父母から550万円の住宅取得資金贈与を受けた場合、3500万円の非課税贈与は使えるか?
A3:
相続時精算課税制度は、父母から子供への贈与とされています。
その為、平成15年1月1日〜17年12月31日の間に、祖父母から5分5乗方式の住宅取得資金(550万円)の贈与を受けても、新制度の3500万円の住宅取得資金か、2500万円の一般財産の贈与を父母から重複して受けることは可能です。
ただし、祖父母からの贈与を受けた年以降、5年間は祖父母からの贈与として110万円の基礎控除の適用を受けることは出来ません。
   
 

Q4:
今年、2500万円の一般財産の贈与を受けた場合、550万円の贈与は受けられるか?
A4:
贈与者が同一人物であった場合は受けられません。
同じ贈与者の場合、一旦、相続時精算課税制度を選択した場合、現行の制度には戻れません。
   
 

Q5:
今年、5分5乗方式(550万円の贈与)を父から受け、さらに相続時精算課税制度で2500万円の贈与を受けることはできるか?
A5:
同じ贈与者(この場合、父)から5分5乗方式で贈与を受けた場合、贈与の年以降(贈与発生年含む)5年間は相続時精算課税制度を選択は出来ません。しかし母親から5分5乗方式(550万円の贈与)を受け、父親から2500万円の一般財産の贈与を受けることは可能です。
   
 

Q6:
相続時精算課税制度の3500万円まで非課税制度を使い、住宅を建てるこになりました。申告は1回にするのですか?
A6:
相続時精算課税制度の3500万円まで非課税制度は住宅取得資金目的の贈与です。住宅取得目的ですので、一生に1回限りの適用であり、高額なため何回かにわけた贈与が可能ですが、資金の移動(贈与の時期)には注意する必要があります。
今年の12月に1000万円の住宅資金の中間金として贈与した場合、来年の確定申告で申告すると、3500万円に達していないということになりますが原則は認められます。
しかし、3月15日の確定申告日までには入居するか、工事が間に合わない場合、12月31日までには居住していないと3500万円の資金の贈与が取り消される可能性があります。
夫婦がそれぞれの親から贈与を受けて7000万円以上(最大14000万円)の資金で、大きな家を作った場合、2年以上にわたるケースも考えられますが、3月15日もしくはその年の12月31日までに入居していることが求められます。
また、3500万円の贈与は、平成17年12月31日までの時限措置です。そのため平成17年の年末までには、完成し居住している必要が有ります。(2500万円の相続時精算課税制度は、継続した制度です)
 


Q7:
先日の新聞で、相続税の基礎控除の見直しを検討とされていましたが、あれは相続時精算課税制度とどのように関連しているのか?
A7:
「相続税の基礎控除の見直しを検討」と報道された内容は、以下の通りです
相続税は相続が発生した場合に課税されます。
しかし、基礎控除があります。
  相続税の計算は
  1.最初に相続財産から基礎控除5000万円をマイナスします。
2.相続人には、1人あたり1000万円の基礎控除があります
3.控除後、相続人により分割します
4.例)遺贈される相続財産が3億円・相続人が3人(妻+子2人)の場合
   3億円 (5000万円+1000万円×3人)=22000万円
   妻の分 (22000万円×1/2)×相続税率40%−控除額
1700万円 =2700万円
   子供の分 (22000万円×1/2×1/2)×相続税率30%
−控除額700万円 =950万円/1人
   2人の分 950万円×2人=1900万円
2700万円+1900万円=4600万円
ということで、3人で総額4600万円の相続税を支払うことになります。
今回の改正の検討は、基礎控除額をそれぞれ現行の8割にしようという改正案です。
現行制度 ⇒ 基礎控除5000万円+(法定相続人×1000万円)
  ↓
改正案  ⇒ 基礎控除4000万円+(法定相続人× 800万円)
相続時精算課税制度とは直接関連しませんが、相続税は被相続人が発生した場合(亡くなった場合)であり、相続時精算課税制度で生前贈与した額は、相続財産に含めて計算することになりますので、今年の税制改正で相続税率の見直しがされていますが、基礎控除額が8割に改訂されると、若干ですが負担が増加することになります。
 

バックナンバー(2003.4号)と合わせて、ご覧ください。
 


新制度など税金についての情報は国税庁の相談窓口や
最寄の税務署へご相談ください。