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失敗しない住まいの設備選び


高齢化社会や環境問題に関心が集まるようになって、「ユニバーサルデザイン」という言葉をよく聞くようになりました。
「バリアフリーとどこが違うの?」という疑問も聞きます。これからの住まいにぜひ考えておきたい住宅にとってのユニバーサルデザインを考えてみました。



ユニバーサルデザインとは、簡単に言うとすべての人のためのデザインを言います。年齢や性別、能力、国などの違いに関係なく、道具や設備、乗り物や建物など人に関わる環境が誰にでも使いやすいものをつくることを意味します。
バリアフリーデザインが使う人にとっての「障害(バリア)」を前提に出発し、それがバリアであることを認め、取り除くという努力であったのに対し、ユニバーサルデザインは、すべての人に向けられた考え方で必ずしも「障害」があることを前提にしていません。最初からすべての人が使えるデザインを目指していることが特徴です。



住まいをデザイン(設計)するということは、そこに住む人の環境をつくりだすことです。そう考えると、住みにくい、住めないということは本来あってはならないことになります。この当たり前の前提がおろそかにされている結果、いろいろな問題が起こっているのです。原因は簡単です。住まう人のことが十分に考えられていないからです。具体的に住む人がいて、その人のためのいいデザインが考えられていないのです。では住宅で、すべての人に住みやすいことを目指すユニバーサルデザインの住宅とは、どうすれば実現されるのでしょうか?



ユニバーサルデザインのポイントとして、色々な考え方がありますが、基本的なものとして、安全性、(狭い意味での)バリアフリー性能、使い勝手、価格妥当性、持続可能性、そして審美性、この6つを挙げていいと言えます。

「安全性」は、一番重要です。法律の規制のほとんどがここをより所にしています。
「バリアフリー性能」は、障害(バリア)と向き合うことから改善が始まりました。比較的最近になってみんなに見えるようになった問題です。
「使い勝手」は、使い手との関係で決まります。つくる側が考えているのと現実とが合っているかどうかが分かれ目です。これも使う側がはっきり使い勝手を主張するようになったのは最近かもしれません。
「価格妥当性」とは、価格と使用価値、「値ごろ感」「適正価格」といったものです。
「持続可能性」とは、地球環境への配慮から資源の浪費や、建設時や廃棄後の汚染問題も考慮に入ります。つくったときだけでなく、時間を経ても使えるかどうか、最近になってつくられたものはこの点があいまいかもしれません。
「審美性」とは、美しさ。美しくなければ魅力的ではありません。もちろん美術的な価値のことではありません。

「安全性」「バリアフリー性能」「使い勝手」はバリアフリーと共通です。バリアフリーとユニバーサルデザインの大きな違いは、「価格妥当性」です。ごく普通の人が気に入って買えるかどうかがユニバーサルデザインにとっては重要なことです。それに審美性も、普及するかどうかに大きな影響を与えます。住宅に関しても同じことが言えます。バリアフリーには、これまでそうした意識は希薄でした。必要性から採算を軽視して開発がなされ、しかも見栄えはあまり考慮されない。残念ながらデザイン性が軽視される例が多くありました。しかしこれからは、中身が十分つくりこんである場合には、デザインの善し悪しがもっと議論されるべきでしょう。人それぞれに抱えた固有のバリアを取り除くことを、バリアフリーの考え方で実現し、より多くの人が一緒に使える環境づくりをユニバーサルデザインとして実現することが大事なのです。



これまでの住宅の設計は、建てるときも、施主の現在の希望に対してはずいぶんていねいに取り組んできました。しかし少し時間が経ったときにどうなるかは、あまり考えませんでした。典型的な夫婦と子どもがいる家庭でも子どもが使うときのことを考えていなかったり、親との同居を考えていなかったりということはよくあります。
設計時に小さな子どもにとっての使い勝手などを、意識せずに設計した結果、洗面台を使わせたり、皿洗いを手伝わせるというときになってみて、高さが合わないことに気づきます。また夫婦の身長が大きい場合も、キッチンでの調理や皿洗いなどで不便を感じることがあります。



子どもがいることによって起きるもう一つの問題は、長寿社会に対応させた使いやすさが、判断力が未熟な子どもの事故を誘引する可能性です。
最近の浴槽はバリアフリーなどを考慮して浴槽の縁の立ち上がりが40cmくらいになっていますが、これが小さな子どもが浴槽に転落する事故になりかねません。この事故を防ぐには少なくとも50cmくらいにする必要があります。それでは長寿社会の要請である、年をとっても入りやすい浴槽の高さと対立することになります。これを解決するためには、浴槽を常に空にするか、浴室に外から簡単なロックがかけられるような配慮が必要になります。ユニバーサルデザインが住み手同士で対立する場合、他の解決手段を取り入れることも必要なことです。
 



親の同居ではもっと難しい問題が起きます。最初から三世代同居を予定して計画すると、問題点の多くは一応解決されるのですが、同居を意識しないで住宅を建てると、後になって思わぬ難問に直面します。洗面台や流しの高さ、階段の使い勝手など、事前に考慮することが重要です。
2階建ての戸建て住宅では、階段をどうつくるかで2階が使えるかどうかが決まってきます。わが国の階段の規定はとくに住宅にあっては非常に甘く、ほとんど梯子(はしご)のような急勾配の階段も認められています。これでは転落事故を誘っているようなものです。歳をとって身体が不自由になったりすると、2階を使えなくなってしまいます。
普通はどこの住宅でも日当たりは2階の方がよく、ものを干すにも適している場合が多いのですから、住みやすさや使い勝手を考えれば、階段は勾配をなるべく緩くするように計画すべきです。できれば蹴上18cm踏み面28cm、それが不可能でも蹴上18cm踏み面21cmは確保したいものです。また、緩勾配の階段を確保するスペースとしてリビングルームに階段を持ち込むことも有効です。覚えておいて良い方法かもしれません。



もし住宅が2階建てでなく3階建てなら、ホームエレベーターを考えるのがいいかも知れません。建てたときには元気いっぱいでも、いつまでも3階まで上がる気力と体力があるとは思わない方がいいでしょう。もちろん元気である間は階段を一気に上っていただきたいものです。



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